[HYUKOHの5枚目のアルバム:愛で(사랑으로)]
HYUKOHが『24: How to find true love and happiness』から1年ぶりに、ニューアルバム『愛で』で帰ってきた。これまでHYUKOHが取り組んできた制作方式があらかじめ定めた音楽的な志向点に向かって進むことだったとするなら、今回のアルバム制作は多分にプロセス志向的な方式で行われた。ポール・サイモン、エイミー・ワインハウス、ビョーク、カニエ・ウェストらが作業したことのあるイギリスの歴史あるリアルワールド・スタジオ(Real World Studios)で楽器録音を、ベルリンでHYUKOHの長年の協働者であるノーマン・ニチェと共にボーカル録音およびミキシングを行った今回のアルバムは、HYUKOHが『23』の時から積極的に追求していたアナログサウンドにより近づき、形式面ではアルバムを作るのに最も必要な要素以外のすべてを削ぎ落とそうとした。メンバー全員がサウンド的に最も満足のいく結果であると自負する今回のアルバムは、デビュー6年目のバンドHYUKOHが見せる音楽的な対話とその過程の記録であると言える。
[「26」ではなく「愛で」]
「愛は知れば知るほど難しく複雑で、ゆえに理性では解けない、ヘーゲルが言うところの“最も奇妙な矛盾”の形態で存在するが、愛は、今なお、唯一、矛盾と不条理の谷底で呻く私たちに手を差し伸べるほぼ唯一の代替案である。それが、私たちが愛の本質に向かって繰り返し問いを投げかける理由だ。」 _チャン・ソクジュ、『愛について』
『22』、『23』、『24: How to find true love and happiness』など、アルバム制作当時の年齢をタイトルにしてきたHYUKOHのアルバムタイトルが変わった。タイトルの数字が象徴するように、青春が持つ多様な感情と思念を歌ってきたHYUKOHは、今や関心と共感の地平を、私たちの社会が日常的・政治的に抱える様々な問題的現象と、それを改善し克服するための実践方式へと広げる。
私たちが毎日経験している差別と嫌悪、固定された優位、世代葛藤、環境破壊などの問題は、反省的な思考なしに速く、奇形的に構築された現代の社会構造の下で作られた結果物である。HYUKOHは、このような様相を転覆し改善するという大げさなキャッチフレーズを掲げるのではなく、今日からできる日常の実践として「愛」を提示する。
これまで歌詞やミュージックビデオでも多様な形態の愛を支持してきたHYUKOHは、今回のアルバムで直接的で明確なメッセージを投げるよりは、音楽に向き合い作業する態度においてそれを表した。すべてを速く消費し、簡単に客体化してしまう現代の消費方式に対抗する代替案としてHYUKOHが提示した「愛」は、メディアや流行が作り出し目の前に与えられた対象を軽く好み流し去ることではなく、自らが主体的に見つけ出した対象への深い愛好と、それによって得られる幸福の別名でもある。
[連結された構造の楽曲構成]
全6曲で構成されているアルバム『愛で』は、全曲がタイトルであり、同時に6曲で一つでもある。アルバムを制作したHYUKOHのメンバーたちは、「Help」、「Hey Sun」、「Silverhair Express」、「Flat dog」、「World of the Forgotten」、「New born」など、独自のタイトルを持つ6曲を、27分間の単一の曲として見ても差し支えないと語る。また、『愛で』に含まれる6曲は、アルバムに収録された順に連続して楽しめるよう、心血を注いでマスタリングされた。6曲すべてが特有の魅力を持っているが、今回の『愛で』は一つの叙事と流れを持つ全曲を、長い呼吸で堪能してほしい。
[ヴォルフガング・ティルマンス、 , 2011]
『愛で』のアルバムを飾ったイメージは、現代を代表する写真家ヴォルフガング・ティルマンス(Wolfgang Tillmans)の作品であり、作家の全面的な支持の下で使用された。ティルマンスは、イギリスで最も権威ある美術賞であるターナー賞(Turner Prize)を非イギリス人として初めて受賞しており、少数者やアウトサイダーたちの日常とその周辺の事物を記録する作業を通じて、世界的な関心と支持を受けてきた。
ティルマンスの2011年の作品である は、多種の植物が混ざり合った道端の花壇を撮った写真である。その速度はそれぞれ異なるが、共に枯れていく、しかし依然として誰もが生きているこの場面は、『愛で』の主題意識を代弁するイメージであり、今回のアルバムのジャケットやポスター、ツアーTシャツなどに活用される予定である。